フランス暴動事件<場所と発端>パリ郊外 クリシー・スー・ボワでの警官に若者が追われ、感電死したことが発端。 若者を中心に全国に暴動が広がる。 ゲリラ戦最中、暴動当時地域ディラン市長は市造りは間違っていないと強弁。 <事件の背景> 国内の再開発、建物再生のため去年は600億円(460万ユーロ)を投じた。 しかしながら交通機関は発達せず、企業の参入もない。 結局、過疎地化し、若者の半数が失業。(見捨てられた場所) ↓ クローズアップ パリ、マルセイユの歴史景観保存のため、郊外に住宅地をつくる。 人工的な郊外のため、フランスもともとの人が出て行き、移民が集中。 そして上記の流れ通り、過疎隔離された地域のようになってしまった。 <他国との比較> フランス:低所得者向けにつくった郊外住宅が結果的に移民の溜まり場となってしまった。 イギリス:もともと住み分けを前提に、町を作成。 ここで両者の意見の食い違いを載せる。 政府は貧困層の問題であると考える、若者は人種による雇用差別だと考えている。 <火に油を注いだサルコジ内相> 若者をさらに煽ってしまった感があるサルコジ内相の過激発言と流れ。 10.25「このゴロツキ連中にはうんざりだ、私が排除する」(初視察にて) 10.27「組織の親玉や密売組織を炙り出してやる」(若者感電死が警察の横暴との意見に) 11.1 「仏国内で暴徒が好き勝手やっている、はっきり言う、そういう輩は必ず処罰される。」 11.6 「警官に発砲する奴はちんぴらだ」(警官30人が発砲による怪我) この発言対応に対しても、意見は様々に割れている。 若者側:サルコジが火に油を注いでいる?サルコジ批判で意気投合。 国民の多くはサルコジ強硬路線を支持(昨今の犯罪率の高さが要因、治安回復希望) またアフリカ、中東アジア移民も、この暴動により、自分たちがとばっちりを受けると感じ、 サルコジを支持、若者に暴動沈静を呼びかける。 (イスラム原理主義テロによるイメージダウンを嘆く世界の中東アジア民族と同じ問題と考える) 国内政党としては大きく2つに分かれる。 左派社会党:雇用と教育 極右系:手ぬるい、軍投入や移民規制、銃使用を解除 ただ今回の暴動は組織的な暴動ではないので沈静化は早いだろうと思われる。 <暴動当時者である若者と仏国民の温度差は激しい> 若者や左派は教育や雇用の回復をしてくれないとこの暴動は収まらないと考える。 しかし仏市民の側からすれば、社会保障は手厚く、彼らは職に就けないからといって食べられないとか、 死ぬわけではないのだ。彼らは働かなくても食べていけるではないかと潜在的な不満がある。 このような潜在的な要因は、さらに奥深くに存する・・・次回もお楽しみに 自由・平等・博愛の精神とはなんだろうか?今はサッカーなどで身近に国旗を見ることが出来る、 その国旗の意味はフランス革命の革命軍の帽章の色から作られており、 青は自由を、白は平等を、赤は博愛を表す。 フランスは19世紀半ばに始まった移民の歴史の初期段階から、 移民にも国民とほぼ同等な権利を与える同化政策をとってきた。 フランスには移民個人を仏市民となり平等に扱うという建前がある。 しかし、現実は、 自由(宗教的シンボルの自由は抑圧、政教分離) 平等(明らかに人種民族によって就業率は偏りがある) 博愛=仏国の慣例を守ってくれれば仲間とみなす(異議を認めない) である、そう日本語に訳される「博愛」の意義はなんでも許すという 大きな愛ではないことを理解しておかなければならない。 同化圧力が強いフランス。(この同化がこの国の善悪二面性かもしれない) <大国の移民政策から眺める> アメリカの移民は○×系アメリカ人と呼ばれ、先の民族性を否定せずにアメリカ人としての意識も持っている。 民族差別、身体的差別があった歴史的経験から、現在のアメリカは逆に本来の民族を肯定することで アメリカへの愛国心を持続させる、という政策をとっているのだ。 この2大国の政策の違いはタウンにあらわれているといえる。 アメリカではチャイナタウン、インディアタウン、コリアタウン、日本人街、南米系タウンなど はっきりと特色を示しながら米国という大国の中で民族的なアイデンティティを保ちながら生活している。 フランスでは、もともとの民族的アイデンティティを捨てフランス人になっていくハードルが低く(国籍取得は楽)、 また同化が前提として存在するような国なのでたくさんの移民は同化していき、混ざり合って暮らしていっているのだ。 <過去の歴史から眺める> あの大戦までの植民地政策においてイギリスは、段階的政策をとった。 最初は搾取から始まり、市民レベルの上昇とともに教育、文化、政治などを譲っていく方式だ。 最終的には独立を許すわけだが、国家指導者は英国の大学などに留学した親英国派を前提とした 間接的独立を許すという意志のもとに植民地政策は行われている。 もちろん前期は、暴動などに対し軍導入などで鎮圧、武による統治も平行して行っている。 ではフランスはというと「同化政策」だ。 言語統制、歴史はフランスに偏った教育、文化の制限、 つまりフランス人と同じようになれ、それしか許されないと突きつけていく。 さらに搾取などは、諸外国と同じように厳正に行われ、入植者への土地分配により 原地人はかなり苦しい思いをしている。間接的統治も親フランスの官僚に国を見させて、同化政策は進められた。 <一長一短、紙一重> イギリスは、当地の文化や言語、民族性はあるていど認めるが市民レベルとしては 英国民と雲泥の差があり、搾取対象として植民地を統治、武を使いながらも基本的に 統治のうまさで不満なく受け入れられている。 フランスは、フランス人になることを求めるため、圧殺的な統治になるが同化を受け入れた民族は 本国にも行け、自由もある程度認められた。 その代わり、自分の民族的アイデンティティを捨てるという屈辱的なことも受け入れなければならない。 国家は歴史とともに育ち歩んでいるため、過去の政策が現在も生きていることは仕方なく、 それはこの先も動かない。ただ、下地は動かなくとも、上積みは時代とともに 緩やかにではあるがいくらでも変化するのだ。 人権や国境的バランスが論じられ、最終的な到着点はどの国もあまり変わらなくなると思われる。 次回、ラストとして現行フランスの問題点をあげます・・・ <フランスの移民たち> 仏語を話し、仏共和国市民として同化すれば、仏国は誰でも市民として迎え入れる。 人種・民族を問わずフランスで生まれた人はフランス国籍の取得が可能である。 したがって移民の二世・三世も楽に国民となれるのだ。近年では、フランスの旧植民地からの移民が増えている。 フランスの国策は政教分離だ。 政教分離を徹底する法律が制定、一時大きく取り上げられた 公共の場でスカーフを被ることを禁じたことはメディアを騒がせた。 結局、宗教文化をどう扱うかが問題かもしれない。 昔、イスラム教徒がイギリスで嫁が男性の医者に裸を見られたと 刺し殺した事件があったが、まさに文化レベルの違いだと考える。 また、フランスは日本よりも学歴社会。高校卒業・大学入学資格のための試験で哲学の小論文が 課されるようなフランスの教育は、知識の詰め込みだけで大学に入れるという仕組みではないのだ。 図に表せば 小中教育(住む地域によって教育レベルにかなりバラつきがある。) ↓ 高等教育(あまり社会民族状況に関係ないが、小中の学力が大きくモノをいう) ↓ 大学入学(論理的に物事を考える力を有していないと合格0%) そして大学に進学しているのとしていないのでは、社会に出てからも明確な差が存在する、 つまりこれは民族、人種差別ではないが根底には移民地区による社会的教育の問題があるのではないかと推察する。 <シラク大統領の後継> 07年の大統領選挙、最有力とされているのはドビルパン首相とサルコジ内相の二人だ。 今回の事件をめぐる彼らの対応が選挙の影響を及ぼすであろう。 サルコジ内相は、与党UMP党首として次期大統領の有力候補の一人であるが、 事件の対応をめぐっては政権内外からの批判も出ているが、 足の引っ張り、あわよくばという政治的意図が見え隠れしている。 ハンガリー移民の二世であるサルコジ内相、彼の動きがこの事件の問題を左右することは確実で 一時的にも鎮圧に成功すれば、フランス大統領への道が近くなるかもしれない。 <暴動(テロ)を起こす若者たち> 路上に車を燃やし、公共物を破壊し、暴動を続けている集団。 結局、彼らは議論や意見として正攻法で戦う術を知らず、暴虐を繰り返している。 相手にすべきは政府であるのに、一般の人の生活を脅かしているわけだ これは同情の余地はない、なぜなら単なるテロ行為だからである。 逆に組織的に動いてない彼らが鎮圧されるのは意外に早いと思われる。 (11.10~11.12の日記より転載) ↑ ↑ ご一読ありがとうございます、是非ともクリックをお願い致します。 無断転載・無断リンク禁止しています。 ジャンル別一覧
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